こころの悩み相談に、私はどのように対応しているのか、簡単な方法を解説します。以下に述べることは10歳以上の方への「個人面接」を想定した技法だと考えてください。
基本的に、ステップ1、ステップ2の2段階で考えます。
それぞれを3段階に分けると、全体で6段階となり、5W1Hの法則に合致します。
ステップ1はWhat、who、howのWWH、ステップ2はwhen、why、whichのWWW。
ステップ1 急性期の対応=まず混乱をしずめる。
この段階では「なぜ?」と問わない。
① 何が問題になっているのか(what) =からまり合う問題の交通整理をする。
② その問題を悩んでいるのは誰か(who) =困っているのは誰かを明らかにする。
③ どのように問題を解決したいのか(how)=とりあえず可能な解決策(出口)を見出す。
ステップ2 長期的な展望
=現実社会(家族、学校、職場)への適応能力を身につける
④ 何時からその問題が発生したのか(when) =時間を過去にたどる(これまでの人生)。
⑤なぜその問題は発生したのか(why) =意識の奥底に眠る抑圧された傷との対面。
⑥可能性の中での現実的選択(which)=未来の時間を思い描く(これからの人生)。
人生を聴くということ
相談に来られる方(来談者、クライエント)が、カウンセリングに対して抱いている期待感は、カウンセリングが始まってしばらく経つと、ほとんどの場合に、「何かが違う」という違和感へと変っていくことになります。
来談者の多くが、スカッとした解決法の提示や、「性格を変えたいのだが…」と希望されますが、5W1Hへの解答作業を行うべきなのは問題を抱えている当の本人あるいはご家族なのであって、相談を受ける私たちが解答をだすわけではありません。
問題の在り処(ありか)に相談者自身が「気付く」こと、そのための援助提供が私たちの仕事なのです。戦っているのはあなた自身。心理士や私は伴走者でしかありえません。 ひたすら語りつづける作業の中から、いつか解答に気付いてくださることを願っています。 一緒に走る者がいれば、多くの人が自分のレースを完走できるようになるでしょう。
友人同士で「カウンセリングごっこ」が実現できれば、それがもっとも良い方法です。