ふくろうブログ

2003.07.01 ふくろう通信

一木こどもクリニック便り 西暦2003年7月(通算79号)

今年の梅雨は例年より雨量が多いようですが、湿気がふえると押入れなどで、カビが多く発生し、そのカビを食べてヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニが寝具の中で大量に増殖し、そのダニが死ぬと腸内のカビが微粉末として放出され、私たちに病気を起こすようになります。アレルギーの原因となるハウスダスト(≒ダニの死がい)が、年間でもっとも増えるのは梅雨明け。除湿と掃除、空気の清浄化に留意しましょう。

こどもの病気の診かたと看かた(113)病気のときの入浴とエアコン

熱のある病気では、入浴させてよいかどうかが問題になります。
汗をとって皮膚を清潔にし、皮膚呼吸をよくすれば病気にもプラスになります。

皮膚をきれいに保つことが目的なので、シャワーで十分ですが、どうしても浴槽に入れたい方は、しゃぶしゃぶの要領で、さっと手短にします。温めすぎないこと。
なるべく体温の変動がこないようにすれば、無駄なエネルギーの消費が防げます。

シャンプーは、熱がさがって、普段の元気がもどってからにしましょう。
夏かぜでもインフルエンザでも、発熱の程度より、本人の元気さが入浴できるかどうかのよい目安になります。お風呂に入るには、それなりに体力が要りますから。

毎日、熱がつづいている状態でも、本人が歩いてトイレにいける体力があるなら、汗でべとべとのままベッドに寝かせておくよりも、さっと湯どおしして、さっぱりしたシーツに寝かせてあげたほうが回復も早くなるでしょう。

エアコンは、ドライでも冷房でも構いませんが、こどもさんに吹き降ろしの冷気が直接あたらないようにし、隣の部屋との中ドアを少し開けておきます。となりの部屋はさらにその続き間と交通させ、密閉してエアコンをつけないように注意しましょう。

こどもの病気の診かたと看かた(114)何でも食べてみたがる人

サーズ(SARS)騒ぎをきっかけに、野生動物などを食べる地域があることが分りました。小泉武夫さん(東京農業大学教授)は、日本人としては珍しく(?)何でも食べる人です。

『中国怪食紀行 我が輩は「冒険する舌」である 日本経済新聞社 1997』

…体長約10センチで、夜、ものすごい羽音を上げて飛んできます。捕まえたらば翅と脚をむしりとってから串に刺し、焼いて豊かな内臓を食べるのです。慣れるまでには特有の線香のようなにおいがきつくて難儀しましたが、慣れてしまえばもうこっちのもので10匹も平らげたことがありました。
(上記書68ページ 「串焼きで食べる五本角カブトムシ」の項より) 

こんなページの連続で読みながら思わず寒~。クーラー代わりにお勧めします。

こどもの病気の診かたと看かた(115)職場の和と医療過誤

今年3月に都営の総合病院小児科で入院中の5歳男児が、腸閉塞の誤診で死亡しました。この病院は24時間受付で、小児救急にとくに力を入れている病院だそうですが、夜間・日祝日などは急患の半分以上が小児患者さんで、医師の疲労も極限のようです。
     
そんな状況での重大事故であり、システム上の問題である可能性もあるかと思ったのですが、それよりも担当医師個人のパーソナリティに問題があったようです。つまり担当医は、日頃から他のスタッフたちと意思の疎通が悪く、困り者だったとのこと。

当事者でない限り、いくら調査報告書を丹念に読んでも、医療内容そのものについては、一概に判断できないのですが、職場のスタッフに対して日頃から問題のある態度が続いていたとなれば困ります。間接的に迷惑を受けるのは患者さんですから。

医療は野球やサッカーと同じでチームプレーが大切。腕が良くても、独善的では周囲からの協力が得られません。職場の和が維持されてこそ、個人の腕も発揮できます。

今回の事故は、医療行為においても、職場の和を良好に保つことが、ひいては患者さんの利益に適うということを教えてくれた事例でした。幼くして亡くなられた患者さんのご冥福を祈ります。私自身も、医療行為の主体者として身を律していく所存です。

こどもの病気の診かたと看かた(116)虫刺されの対策

赤ちゃんは呼吸数がはやく、呼気中に排泄される二酸化炭素の量も多くなるため、蚊に狙われやすくなります。蚊は二酸化炭素に引き寄せられるのです。おじいちゃん・おばあちゃんと赤ちゃんが一緒に散歩すると、まず赤ちゃんが狙われます。

お酒を飲んで戸外に出ると呼気中の二酸化炭素が増えるため、蚊が集まってきます。
一杯ひっかけてから、夕涼みを兼ねての草むしりなどしないほうが良さそうですね。

成人では蚊に刺されても、だいたい2cm程度の腫れで終わりますが、乳幼児では周辺数cmが盛り上がってボコボコになります。皮下組織が柔らかいほど腫れもひどくなりやすいのでしょう。1ケ所刺されて10ケ所くらい腫れることもあります。

こういう状態を、乳児ストロフルスと呼び、虫の毒素に対するアレルギー反応です。数週間、痒みもずっと続きます。ところが、虫に刺された直後、せいぜい30分以内までにステロイド軟膏やクリームを塗れば、翌日には跡形もなく消えます。
「強酸性電解水(超酸性水)」も効果的。当院でもお分けします。受付でお尋ねください。

あとがき

7月19日に北部九州地方を襲った大水害で、多くの方々が犠牲になりました。私たちの生活環境が自然災害に対して、いかにもろいものであるか、あらためて思い知らされました。病気とちがって、事故や自然災害は、一瞬にして生命と財産を奪います。
どこに危険が潜んでいるか知れません。今一度、家具の配置などを点検しましょう。

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