プロ野球日本シリーズは、福岡ダイエーホークスが4年ぶりの日本一に輝きました。地元のファンに多くの夢を与えてくれたホークスの選手たちと王監督、また、阪神タイガースの選手たちと星野監督にも、惜しみない賛辞を送りたいと思います。野球音痴、スポーツ苦手の私でも、ハラハラドキドキ、楽しい応援をさせていただきました。
こどもの病気の診かたと看かた(122)インフルエンザの予防
予防接種を受けたのに、インフルエンザにかかる方がいます。不思議ではありません。
現在、インフルエンザ゙ワクチンとして使用されている、不活化ワクチンの目的は、天然のインフルエンザにかかったときの、ひどい症状を軽くすることにあるからです。
空気感染する病原体に対して最初のブロッカーとなるのは、血液中の抗体ではなく、のどの粘膜にある抗体。ところが不活化ワクチンでは、粘膜で働く抗体ができません。
できるのは血液中の抗体だけ。粘膜ブロッカーは、ワクチンでは作られないのです。
インフルエンザウイルスは、のどやハナの粘膜に付着して、増殖を開始します。
この第一段階を防ぐには、粘膜に抗体があればOKですが、ないんですね。悲しい。
ではどうしたら良いのでしょうか。
粘膜が乾燥すると、ウイルスが付着しやすくなるためのどの乾燥を防ぐようにします。
お魚やさんのアラカブみたいにポカンと口を開けない。ウイルスが狙ってます!
緑茶、杜仲茶、紅茶などのカテキンは、ウイルスが粘膜に付くのを邪魔します。
お茶の出がらしを捨てないこと。食後、急須に熱湯を注ぎ、一晩放置します。翌朝、だし汁のようになった、カテキンたっぷりの、とても飲めそうにないお茶でうがい。
診察中に、「は~い、おのどで~す。あ~んしてね」とやってますと、時々、「ぐえ~」とか、「ぶ・ぶへーっくしょい」なんて、ばっちいのを顔一面に受けることがあります。
そんなとき、洗顔だけでは不十分ですが、緑茶でうがいをすると、とりあえず安心。
インフルエンザだけでなく、普通のかぜにも効きます。今日から実行してみませんか。
インフルエンザワクチンを受けても、のどに抗体ができないのなら、ワクチンはムダ、無意味なのでしょうか?いーえ、ワクチンで血液には抗体ができる。それが大切です。
血液中に抗体があれば、ウイルスは粘膜から血液に入ったところでブロックされます。
つまり、脳や心臓といった、のどから遠いところにたどり着けないことになります。
ですから、本物のインフルエンザにかかっても、大切な部分は守られるわけですね。
インフルエンザに命を奪われたこどもさんの多くは、発病してわずか1日から数日で、亡くなっています。インフルエンザは、ワクチンこそが最も有用な予防策なのです。
こどもの病気の診かたと看かた(123)巷野悟郎先生の講演会から
先月号で、お知らせしましたが、NHKラジオ健康相談の回答者を長年担当されてこられた、巷野悟郎先生の講演会が10月17日に、福間町公民館で開催されました。
小児科医である巷野先生の姿勢は、一貫して“こどもの側”からの視点にあります。
こどもを保護すべき対象としてばかり見ていると、いろいろ迷っているお母さん方につい説教してしまうことがあります。でも巷野先生の発想は、まるで違うのですね。
講演会のあとで巷野先生に伺った、面白いエピソードを一つご紹介しましょう。
あるお母様から、「うちの子は偏食が激しくて困ってます」とご相談を受けられたときの回答が、「お宅のお子さんはね、違いの分るヒトなんですよ。その才能、いつか生かせるかも知れませんよ」…! まあ、ここまでなら、ただの言いっぱなし…ですが。
実は、そのときのお子さんが、何と現在、オーストラリアだかの大学で栄養学の先生をされておられるそうです。スゴイ!巷野先生は、やっぱり人生の達人なんですね。
他者の隠された才能を見出し、育てあげる人を伯楽と呼びますが、巷野先生のような名伯楽に相談できるお母さん方はとても幸せだろうなあ、と思いました。
初めて赤ちゃんを抱いたときに、お母さんお父さんは、きっと
“私たちのところに生まれてきてくれてありがとう、元気で良い子に育ってね”
と思うでしょう。その初心を持ち続けることは、困難ですが、大切だと思います。
“あなたのおかげで、私たちは良い大人になれそうです”の気持ちですね。
巷野先生から御著書をいただきました。温かい、優しい本ですのでご紹介します。
「赤ちゃんが書かせてくれた 小児科医からママへの手紙」 赤ちゃんとママ社 定価1200円+税
こどもの病気の診かたと看かた(124)小児の気管支喘息
昨秋、小児喘息診療の新しいガイドライン(2002年版)が発表され、吸入ステロイド剤の位置づけが、以前のガイドラインよりも明確になってきました。
従来の方法は、大体、以下の3種類の薬を組み合わせるものでした。
① 持続性気管支拡張剤(テオフィリン製剤)
② 抗アレルギー剤(とくにロイコトリエン拮抗剤)
③ β2刺激剤(気管支拡張剤)
これらの薬物を継続使用し、環境を整えても、なおかつ夜間や明け方に呼吸困難を伴う発作をくりかえす場合には、吸入ステロイド剤の使用に踏み切るべきでしょう。
2歳未満児に対しては、十分なデータがないことから、慎重に行うべきですが、2歳以上では、吸入ステロイド剤の有効性が確立されたと考えられます。
あとがき
最近お風呂で、王監督の胴上げシーンと(シャワーで)ビールかけを再現しております。