ふくろうブログ

1998.03.01 ふくろう通信

一木こどもクリニック便り 1998-3月号 【通算第15号】

卒業式、卒園式が終るとまもなく入園、入学の季節。園児や学童のいるご家庭では、新学期の準備で忙しいことでしょう。 さて少し寒いけれどそろそろ花見の時期です。ところで、春は花粉症などのアレルギー体質の方にとってはつらい季節です。花粉症は目やハナだけでなく全身症状(頭痛、疲労感、微熱など)をだすこともあります。動物も毛の変わる時期ですから、ハムスター、猫、犬などのペットを飼っているお宅では御用心を。花粉だけでなく、こういうペットの毛もアレルギーを起こします。

こどもの病気の診かたと看かた⑪発熱・嘔吐・下痢

(前回の続き)高熱が40度も41度もつづいて、解熱剤(げねつざい)を何回使ってもどうしても熱がさがらない、どうしたらいいの?とのお尋ねが頻々にあるのですが、答えは、「やがて自然にさがるから、放っておきなさい」「見ないふりをしなさい」です。より正確に言いますと、「体温そのものは計らないふりをする」です。

もっと大切なことがあるのです。同じ39度でも顔色が赤い場合と青い場合があります。手足の温かい場合と冷たい場合があります。

高熱でも顔色が赤く、手足が温かい場合には循環が良いので、解熱剤を使用してもあまりマズイ影響はありません。

くすりを使う場合、くすり自体の逃げ道を確保しておくことが大切です。 ほとんどのくすりは肝ぞうで解毒(げどく)されて腎ぞうからでます。

ところが顔色がわるく手足も冷たい時には、解熱剤(げねつざい)の効果はあまりでません。血のめぐりをよくするのが先です。早めに水分を与えて手足が温かくなるのを待ちます。そうすれば、解熱剤のもつマイナス面がでにくくなるのです。

下がらない、サガラナイ、と言って立て続けに解熱剤(げねつざい)を使用していると、やがてドスンと下がることがあります。34度や35度の低体温になります。 これは高熱よりもっとわるいのです。

夏山遭難と同じで、体を冷やしすぎると、細胞の中のいろいろな酵素(こうそ)のはたらきが悪くなります。

病気に立ち向かうためには、これらの酵素のはたらきを活発にしておくことが大切。 医学が進歩して、いろいろな病気のメカニズムが今よりもっと解明されてくれば、カゼのちりょう薬から解熱剤(げねつざい)が姿を消す日がこないともかぎりません。

私は、もともと解熱剤というものは、もはやなくても良いくすりのひとつだと考えています。しかし上手に使えば、まだまだ有効な場合が多いのも事実。

どうしても解熱剤(げねつざい)を使わざるをえないのは以下のような場合でしょう。
① 眠れない時、
② 水分がとれない時、
③ 熱性ケイレンの体質がある時、
④頭痛や耳痛などを訴える時(一晩だけの痛み止めとして)

熱がでた→それっ解熱剤(げねつざい)、咳→ほいっ咳止め、下痢→ほら下痢止め… もういい加減にこんな反射的な対応とはおさらばしたいものです。

お知らせ

※ 本年4月より、宗像市・郡では7ヶ月健診が個別健診となります。当クリニックは、この健診引き受け医療機関として届け出ております。
当面は、一般の診療時間帯とかさならないように、土曜日午後の予防接種の後 に健診の時間をもうけております。また健診は時間がかかる場合もあり、予約 制です。さらに土曜日は、しばしば研究会や学会などがあるため、休診になる こともままあります。必ず、当日の診療の有無を確認のうえ予約して受診して 下さい。ひとりあたりの時間は、健診の予約者数によって異なります。

※ 最近駐車場でタバコの吸い殻をよく見かけますが、幼児が使う場所ですので誤 飲事故を防ぐ意味からも、吸い殻は喫煙者の責任で持ち帰って下さい。

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