夜間に急な発熱やけいれん、嘔吐、喘息の発作などで、急患センターを受診された経験のある方は多いことでしょう。とくに夜間はふだんのかかりつけ医療機関が開いていない時間帯であるため、心理的不安が強くどうしても朝まで待てずに受診してしまうという傾向が見られます。
小さいお子さんの場合は、ご両親の不安はなおさらだと思います。乳児は言葉で病状を訴えることができないので、どこが悪いのかわかりにくいからです。ただ泣くだけ、とか急にぐったりしてきた、という場合には、どのように対応して良いのかわからず途方に暮れることでしょう。
ところで、小児の救急医療に従事している小児科医は、夜間の小児科救急外来の利用をどのように見ているのでしょうか。関東地区のある市民病院の夜間救急外来の調査ですが、何と小児科急患の中で、本当にその時間に受診が必要と判断されたケースは8%くらいだったというのです。
ある総合病院の救命救急センター小児科の調査でも、小児科急患の60%くらいは、その時点では受診が不要か、あるいは翌日の受診でも問題ないと判断されたケースであったという結果です。
急患センターの診療に大学病院からこられる先生方のお話では、急患センターには、本当に必要な患者さんだけが受診して欲しいとのことです。 極端な話ですが、急患センターでは救急車で受診する程度の患者さんだけを診れば良い、という意見もあります。
では時間外でも受診が必要な方とは、どのような患者さんでしょうか?
それは、「食べる・眠る・あそぶ(動きまわる・喋る)」などの全身状態がどれも良くない患者さんのことです。この3拍子がそろって悪い患者さんが、深夜に急患センターを受診して、「来なくても良かった」などと言われるはずはありません。
「家で安静にしていれば、あと数日で治る」とお墨付をもらったとしても、その夜に突然ぐったりしてきたならば、そこで急患センターを受診することが必要です。頭や心臓などの大切な場所に病気が広がると、急変することがあります。それらは、病気の初期には気付かれにくいものですが、時間とともに明らかになってきます。
こどもさんの看護に当る保護者の方々は、ただひたすら全身状態、つまり「食べる・眠る・あそぶ」の変化を見届けるように注意してください。その3拍子がキープされていれば大丈夫です。悪くなる病気、最初軽くてもこじれていく病気は、必ず、この3拍子が悪くなってくるからです。