ふくろうブログ

2001.07.01 ふくろう通信

一木こどもクリニック便り 西暦2001年7月(通算55号)

連日のように熱中症の報道がみられます。屋外での作業やスポーツでは、早めの休息と水分摂取を心がけ、また昼間は乳幼児を連れての外出をなるべく控えましょう。さらに、食欲がないからと冷たい食事ばかりくり返せばいっそう体調をくずします。温菜中心の食事を心がけ、生ものの摂取もなるべく控えて夏バテに備えてください。

こどもの病気の診かたと看かた(53)夏の手洗いについて

夏はいろいろの病原体が私たちをねらっています。夏に流行する病原体の多くは、手や食品、飲用水などから口に入りこむものが多いのです。

病原体の侵入をふせぐ有効な対策は、手洗いを励行する、指をなめたり爪をかじったりしない、皮膚や爪をいつも清潔にしておく、などです。でも手洗いをめぐって親子げんかするほど必死になる必要はありません。

先日、近所のスーパーで目撃したのですが、こども用カートのこどもさん、何とハンドルにかじりついていました。カジカジハムハム…。 歯固めの練習も兼ねているようで、お母さんもアーアという顔で見ているだけ。でも、このお母さんのノホホン…はとても大切な態度なのです。

こういう場合に、もしもそのハンドルに夏かぜウイルスなどの病原体が付着していたら、それは多分こどもさんに侵入することでしょう。 逆に、そのこどもさんが病原体をもっていれば、それはよだれやハナ汁といっしょにその子のふれたものにうつり、次にそれに触れた誰かさんに侵入することになるでしょう。それらはどちらも確かです。しかし…。

病院の待合室では床をころげまわって遊ぶこどもさんがいます。 スリッパを口にくわえてハグハグしているこどもさんも見かけます。 親が不潔恐怖症だと、とても恐ろしい光景に映ることでしょう。ところが病原体をうつされたこどもさんが皆、病気になるわけではありません。

ある程度の抵抗力をつけるという意味では、見て見ぬふりもときには必要になります。こどもは何でも手に触れるものはなめてみるものです。こどもとはそういうものだ、そう思えるようになる頃には、不思議と病気をしなくなります。成長とともに抵抗力もついてくるわけですね。

大人とは、多くの病原体と闘って全てに勝利してきた存在なのですから。

こどもの病気の診かたと看かた(54)口内炎の治療

手足口病や、ヘルパンギーナなど、口内炎を起すウイルス性の病気が流行しています。手足や、膝、おしりなどのブツブツはかゆみもなく、放置しても自然に治りますが、口内炎は食事もとれないほど痛みが強いことがあり、何らかの対応が必要です。しかし決定的なものはありません。

私はしぶ茶の効果に注目しています。緑茶の成分であるタンニンには粘膜の傷をなめす作用があるようです。お茶をおいしくいただくには、80℃程度の温度が良いのですが、タンニンを抽出するには熱湯が効果的。

つまり飲用に何度か抽出した後の出ガラシで十分。就眠前に、出ガラシに熱湯を注いで一晩放置。翌朝冷めた出ガラシ渋茶でうがいをします。2日程度で軽快。費用はほとんどゼロ。麦茶や玄米茶では期待できません。緑茶で試してください。もちろん飲用前の新品の茶葉でもOKです。

こどもの病気の診かたと看かた(55)とびひの治療

高温多湿の日本の夏は、とびひやあせも、みずいぼなど、皮膚病とのたたかいの季節です。とびひは乾いた皮膚にはできにくいのですが、汗ばんでいる皮膚に、あせもや虫刺されなどのキズがつくと、すぐできます。    

とびひは、黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌で起こります。治療の原則は、外用薬だけでなく必ず抗生物質の飲み薬を使うということです。

しかし困ったことに、飲み薬に抵抗性のある菌が増えつつあります。こういう菌では、2週間以上治療をつづけても一向にらちがあきません。また抗生物質を長く飲み続けると下痢などの副作用が起こりかねません。

当院では、5年前から、強酸性電解水(超酸化水ともいう)を、とびひや化膿したキズ部分の消毒に使用し、非常に満足のいく結果を得ています。pH2.3以下の非常に強い酸性水ですが、人体への有害作用がありません。

この水で消毒した患者さんでは、抗生物質を5日間飲んでいただくだけできれいに完治します。使用しない場合と明らかに大きな違いがでます。

あとがき

気管支喘息の体質の方は、お盆の帰省で発作が起こりやすくなります。花火、線香、バーべキュー、客用フトンに注意しましょう。  

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