ヌスットラ・ダマスの大予言
ふくろう通信社では匿名リサーチ本部より以下の極秘情報を入手
情報1 インフルエンザウイルスは熱に大変弱い!
インフルエンザウイルスによる急性感染症は、ヒトや動物に高熱をおこさせる。だがウイルスそれ自身は、実は高温に弱く低温に強いのである。 だから水鳥(カモ、アヒルなど)の体内では長く生存できるらしい。ブタやウマやヒトなどでは、体温が高いため、それほどながく生存することができない。
情報2 ワクチンはA型インフルエンザに有効だが、B型インフルエンザには効果が低い!
ちまたで、インフルエンザ大魔王と怖れられているのが、A香港型であるが、これは大魔王の名にふさわしく、つぎつぎと変身をくり返し、人類を恐怖におとしいれるのである。1999年には、A香港型シドニーなるマスクで登場してきた。
そして、大魔王の妻とも彼女ともうわさされているのが、Aソ連型であり、ダンナに劣らず毎回変身を重ねている。夫婦ともに厚化粧で、なかなか素顔を見せない。
さて大魔王カップルの隠し子とささやかれているのがB型であるが、これは素直で化粧っ気がなく変身しない。いつも大魔王カップルに隠れるように出没する傾向がある。
大魔王カップルがもっとも恐れているのが、インフルエンザワクチンである。ところがこのワクチン、カップルにはすこぶる有効だが、一見素直な隠し子のB型にはあまり有効ではないらしい。ワクチンを2回受けたヒトでもB型にはやられることがある。 親をだませたと思って安心していると、隠し子の娘にやられるので御用心!
情報3 大魔王カップルを封じ込める塩酸アマンタジン(商品名シンメトレル)というミサイルが登場!
パーキンソン病という神経難病の治療薬として使われている塩酸アマンタジン(商品名シンメトレル)がA型インフルエンザに有効であるため、昨年末に認可された。
これは、発病から48時間以内に使用すれば効果があるとされている。B型には無効。
インフルエンザ制圧の必勝マル秘作戦―ハルマゲドンに勝つには
作戦1 熱に弱いウイルス → 熱を下げず、熱で煮殺せ!
情報1にもとづき、侵入してきたインフルエンザウイルスを撃退するには、せっかくの発熱を大切にして利用し、相手を返り討ちに葬るのが最上の作戦と決定した。とくに発熱初期(48時間以内)は、侵入を受けたからだは、大魔王一派にやられっぱなしの状態であり、唯一、この発熱のみがせいいっぱいの抵抗なのである。
むやみに解熱剤を使わないように、耐えて耐えて耐え抜く心構えが必要。
作戦2 大魔王には漢方の麻黄(まおう)製剤をぶつけろ!
麻黄を含む代表的なカゼ薬としては、葛根湯(かっこんとう)と麻黄湯(まおうとう)がある。どちらも、発熱して寒気がするわりには汗がでない、という時に使うと有効。 両者の使い分けであるが、首筋から背中、腰にかけてこわばったような感じや、節々が痛い、みぞおちの辺りに痛みや抵抗感がある時には葛根湯が良く、もっぱらのどや頭が痛い時には麻黄湯が適切。
これらの薬を内服する時に、なるべく多量の水分を同時に摂取する。そしてしばらくベッドに入って、独り寂しく、じっと安静にしておく。枕元にペットボトルを置く。 部屋を暖かくし、乾燥しないように加湿する(濡れたタオルをバケツにいれ足元に)。
やがて麻黄のおかげで、手足が暖かくなり、じわじわと発汗が始まる。頭痛や節ぶしの痛みも軽くなる。眠くなったら眠り、目がさめたら水分を飲み、トイレに行く。 室温の水分が40度の尿と汗となって排泄される。濡れた下着を取り替え、温かいおしぼりでからだを拭く。これをくり返すこと2日、ベッドは汗でびしょびしょになり、まるでサウナスーツのようになる。名づけて「人間茶わん蒸し」。これで大魔王は退散。
さてハルマゲドンの結果は如何に?
飲みつづけた水分のおかげで脱水を防ぎ、蒸らしに蒸らした高熱のおかげでウイルスは全滅し、家族にも感染させることなく、独りのベッドでの静かで孤独な闘いは終止符を打つ。隠し子B型にはミサイル(塩酸アマンタジン)も無効で使えないのだが、この
高熱ウイルス蒸し焼き+発汗をうながす麻黄+水分の絶えざる補給作戦
なら、ミサイルなしでも、隠し子B型に対しても、解熱剤なしでも、立派にウイルスとのハルマゲドンに勝利できるのである。ゾクゾクっときたら、人間茶わん蒸しを!