秋も深まってきました。山の紅葉がきれいに見える頃、田んぼでは稲の刈入れも終わり、一雨ごとに気温が下がります。草むらの虫のすだきも徐々に細く弱くなり、さびしい晩秋の風景となります。私たちには見慣れた日本の農村の原光景でしょうか。
こどもの病気の診かたと看かた(91)インフルエンザとワクチン
今年の冬(2002―2003)に使用が認可されたインフルエンザワクチンには、以下の3つのウイルス株が含まれています。
Aソ連/ニューカレドニア、A香港/パナマ、B/山東
詳細は以下のHPで閲覧可能です。インフルエンザQ&Aもあります。
国立感染症研究所(http://www.nih.go.jp/)
2000―2001年のシーズンには、当院でインフルエンザによるけいれん重積(けいれんが長く続いて、生命に危険な状態)もしくは脳炎の患者さんが6名。全員が未接種の子どもさん。2001―02年シーズンは、ワクチン接種を積極的に推進した結果、ケイレン患者さんは数名になりました。
治療薬がなかった時代、インフルエンザはいったん発病したら、安静・保温・水分補給につとめて、病気が通り過ぎるのをひたすら待つしかない病気でした。近年になって、発病後も有効な薬があいついで登場し、インフルエンザの治療法もずいぶん様変わりしてきた感があります。
人生の初め(乳幼児)と終わり(高齢者)は免疫力が弱いため、ウイルスが全身に拡大しやすいこと、体も何とかしようと必死で防衛するのですが、適度な防衛を行うためのコントロールがうまく働かないこと、これらの理由で、この年齢層では重症化しやすいと考えられています。
ですから、とくに乳幼児と高齢者では、発病してからの治療を期待するのではなく、発病そのものを軽くできるように、ワクチンを受けておくべきでしょう。もちろんワクチンで発病を完全に予防できるわけではありませんが、重症例(入院の必要なレベル以上)は明らかに減ります。
こどもの病気の診かたと看かた(92)自家製ハナ治療法
セイタカアワダチソウ(ブタクサ)の黄花が満開ですね。鼻炎の子どもたちも水バナ、黄バナ、青バナと三色のハナ汁をだすようになりました。
実は今春、鼻炎が悪化したときに、私は低周波治療器でせっせとハナの根っこに刺激を与えてみました。ビリビリと痛いので長続きせずポイ。最近は、ひとさし指でハナ全体をマッサージしております。効果あり!
次におすすめしたいのがあごひげタマちゃん式ハナ洗浄法。お風呂で、ハナの穴すれすれまで湯につかります。湯気をたっぷり鼻腔に吸い込んであがります。湯冷めしないようにして1時間もすると、くしゃみ連発。
その後、ぬるま湯で洗顔するか、蒸しタオルでハナをとります。仕上げは抗アレルギー剤の点鼻。これですやすや熟睡。夜中の咳もでません。
大学病院時代、小児科の向かいに耳鼻科外来があり、数年間ハナ洗いに通いました。少し改善して中断、悪化して再開、のくり返しで根気負け。
鼻炎治療にはハナを洗浄するのが一番ですが、なかなか続きませんね。
皆さんも自分に合ったハナとの付き合い方を工夫してみませんか。
附録:にゅうよーくでA会話
娘:パパー、何してるの、お風呂にもぐっちゃって?
父:プッハー、ハーイ、タマちゃんでーす。んー、もう一回、ザッパーん、っと。
娘:ママー、来てえ、早く早く、パパがタマちゃんだってえー!
母:(ドス、ドス、ドス…)大さわぎして、何よ、いったい?……ナ、ナ…!
父:やあ、待ちかねウタちゃん現わる。じゃあ、もう一回ネー、…ン、どうしたの?
母:馬が溺れよるんかと思った。びっくりさせんといて!
父:ブ、ブヒヒーン・・・、ドボーン!(そりゃウマ面だけどさ…)
講演会のお知らせ(第2報)
11月8日に、筑波大学心身障害学系教授の宮本信也先生による2つの講演会が開催されます。宮本先生は小児心身症の分野で日本を代表する小児科医です。
宮本研究室のHPは、http://www.human.tsukuba.ac.jp/lab/mslab/index.html
午後2時より、宗像市総合庁舎にて( 主催:宗像市児童虐待対策会議)
演題:虐待を受けた子どもの心のケアー
聴講対象者:児童虐待に関わる団体および個人(聴講無料)
午後6時より、福間町フクトピアにて( 主催:宗像校医会)
演題:不適応行動をくり返す子ども達の理解と対応
聴講対象者:幼稚園・学校関係者、心理・養護関係者(聴講無料)
あとがき
そろそろインフルエンザ流行のシーズンが近づいています。現在の日本で、毎年多くの乳幼児の生命をおびやかす感染症は、麻疹(はしか)とインフルエンザの2つです。予防接種さえしていれば・・・。そんな後悔をしないためにも、是非この2つとも接種を受けてください。