ふくろうブログ

2003.02.01 ふくろう通信

一木こどもクリニック便り 西暦2003年2月(通算74号)

インフルエンザ、久しぶりに大流行しました。予防接種したのに罹った方も多いと思いますが、これにこりずに次のシーズンも是非受けてください。数年連続して予防接種を受け続けると、多くの種類の抗体が少しずつ作られます。多種類の抗体セットで戦います。インフルエンザには、人生を通じて、総力戦を続ける必要があるのです。。

こどもの病気の診かたと看かた (98) 花粉症の予防的治療戦略

花粉症に限らず、いわゆるアレルギー体質の特徴というのは、となりの人には何にも症状がないのに、ある人にだけ狙いすましたように集中的に症状がでるということ。
ほんとに不公平、狙われた人はたまったものじゃないですね。

その花粉症も、研究が進んだおかげで、明確に対策が立てられるようになりました。
まず、その地域、そのシーズンに飛散する花粉の性質と量などを予測します。
新聞、テレビなどマスメディアのほかに、インターネットなども有効です。

次に、春一番の2週間くらい前からアレルギー反応を抑える薬を内服します。
いろいろな薬がありますが、最近は眠気のこないのが主流になっています。
アレルギーに精しい医療機関でご相談してください。

私は漢方薬と抗アレルギー薬(内服、点鼻、点眼)などを組み合わせて処方します。
花粉症には、先手を打って、なるべく快適に春を過ごしたいものですね。

10月から1月生まれの人は、将来、春の花粉症になりやすいことが分ってきました。生まれてから、生後6ケ月頃までに、どのような物質と触れ合うかによって、その人の免疫システムに永久的な刻印が押されてしまう、という理由によります。

頸がしっかりしてきた頃、ぽかぽか陽気につられ、赤ちゃんを抱っこしてお散歩にでると、運悪く戸外は花粉がビュービュー飛んでいた、と想像してみましょう。

その花粉を赤ちゃんが大量に吸ってしまった。たったそれだけで、その赤ちゃんは将来もずっとそのときの花粉に対して、過敏になってしまうのです。本当の予防という意味では、まだ症状がでない赤ちゃんの頃から、数十年後のために気をつける配慮が必要なのでしょう。風の強い春先には、散歩にでない方が良いと思います。

こどもの病気の診かたと看かた (99)インフルエンザのときの解熱剤

インフルエンザのときに、15歳以下の小児では、使える解熱剤が限られています。

インドメタシン(商品名:インダシン)は、小児ではあらゆる疾患で、原則的に使用禁止です。ジクロフェナック(商品名:ボルタレン)は、普通かぜでも使用できません。メフェナム酸(商品名:ポンタール)は、普通かぜにはOKですが、インフルエンザでは使えません。サリチル酸(商品名:アスピリン、バファリン)は、インフルエンザでも普通かぜでも、15歳以下は、原則使用禁止です。これらの解熱剤は、インフルエンザウイルスと協同して、とりかえしのつかない脳症を起こす危険性があるのです。

夜間に高熱を出したときなど、こども用がないからと大人用の解熱剤をこどもに使うのは危険です。すぐに解熱させない方が良い結果になることも多いのです。ごはんと同じで十分蒸らしてから、この熱を下げるべきか、下げずにそのまま観察するべきかを考えましょう。水分がとれて喋れる、歩けるなら無理に下げなくてもよいのです。

こどもの病気の診かたと看かた  (100)こどもに勉強させる良い方法

ある母親のメール相談。主旨は、中学一年生のお子さん(男子)が、近頃やる気がない、冬休みの宿題にも手をつけない、塾にも行かないので、イライラして叱ってしまう、注意しても返事もしないので困っている、どういう対応がよいだろうか?というもの。

「本人に意欲がないのだからあまり言わないほうが良いのでは?」と返事したところ、

 「ほっとけばいいんですか?行きたくない塾は辞めさせればいいんですか?」

困っているのは母親の方で、本人は困っているようには見えず結構ノー天気?
こんなとき、私はいつも、「ホトトギス」の句の私版でお答えします。

鳴かぬなら、鳴いて見せよう、ホトトギス → まず親がお手本を示すことが大切。
 
最初だけ手助けしますが、少しでもうまくいったら、すかさずヨイショをします。
「ハアー、お母さんもたいがい頑張る方やけど、あんたには勝てんばいね」
「いえいえ、何をおっしゃる、お母さまこそ。私なんぞまだまだ足元にも…」
こういう親子は、黙っていても、きそって勉強合戦になることうけ合い。     

その昔、テレビの時代劇の一場面…。
「フッフッフ、越前屋、おぬしも相当のワルよのう」
「いえいえ、お代官様こそ。これはほんの手土産代わりで(と、袖から何かを)」   
「ウーム、あっぱれな忠勤ぶり、いや苦しゅうない。されば何なりと申してみよ」 
「ははあ、恐れ入りましてございます。実は(ヒソヒソ)、では何とぞよしなに」

小悪人は大悪人をモデルにし、こどもは親をモデルにするわけですね。
こどもが勉強しないのは、モデルとなる親が、現在進行形で勉強していないから。

先ほどのメール相談の件で考えれば、塾に行きたくないこどものために月謝を払うの
はもったいない。私なら、そのお金を、自分が何かの教室に通うために使います。
自分にはもっと努力が必要と自覚したとき、こどもは自然に勉強し始めるでしょう。
こどもさんに負けないよう、今日からさっそく親もべんきょう開始、大変だあ~!

あとがき

今冬は例年にない寒波のせいか、インフルエンザが大流行中。皆様もご自愛ください。

ふくろうブログTOPへ