ふくろうブログ

皮ふの病気について

夏かぜもめっきり減って、かわりに増えているのが、「あせも」、「ストロフルス」、「とびひ」などの皮ふ疾患です。ところで困ったことに皮ふの病名にはむずかしい漢字が多い。

「ふつうイボ」は、尋常性疣贅 (じんじょうせいゆうぜい)。
「水イボ」は伝染性軟属腫 (でんせんせいなんぞくしゅ)。
なんぞくというのはなんぞや、実はカタツムリのことです。

水いぼの表面はツルンと光っていて、何となくカタツムリが止まっているように見えるからでしょう。
ちなみに「いぼ」も「水いぼ」も、どち らもウイルスでうつり、拡がります。 うちのは大丈夫、とうっかりしていると、どんどん増えます異母兄弟!

「いぼ」に良く効くのは、グルタールアルデヒドという薬。液体チッ素よりはるかに有効ですが、劇薬なので、劇場でも、薬局でも買えません。

「にきび」は座瘡(ざそう)。顔の真ん 中に座り込むから?顔全体に拡がるとゴジラとよばれることもあります。
「ミズムシ」は白癬(はくせん)。この 癬という字をよーく見てください。 いかにもジワジワ、カジカジと皮ふ の表面をはいずり回っている感じが でていると思いませんか?昔なつかし、インベーダーゲームのイメージ。

「タムシ」は頑癬(がんせん)。学生時 代、ヨット部の試乗会で、先輩の水 着を借りてヨット遊びを半日してい ただいたのが「インキン」様。金印な ら歓迎したのに。(「コウモン」様のは印ろうです。間違えないように)なかなか治らず頑固でした。あっー、思い出すだけでマタマタかゆーい。 教訓:もうはきません他人のパンツ

「とびひ」は伝染性膿痂疹 (でんせんせいのうかしん)
「とびひ」のこどもさんを預かることに抵抗を感じる保育園や幼稚園が多いようですが、あれはチマタで信じられているほど簡単には、ヒトからヒトにはうつらないのです。

園児の中に「とびひ」の子がいて、その子から他の皆がうつされたように勘ちがいをしていますが、水ぼうそうなどと違って「とびひ」は空気感染しないのです。

「とびひ」という言葉は、A少年の足から手へ、手から胸へ、胸からお尻へ、A少年の手に付いた菌によって、次々と飛び広がるという意味です。
「とびひ」の原因となる黄色ブドウ球菌というバイキンは、健康な人でも40%くらいは持っています。

「えっー、そんな汚いのどこにいるのよ!」と、鼻の穴をふくらませている奥様へ。そいつは、目にいれても痛くないほどかわいい坊やの、鼻の穴の奥に隠れているのですよ。
坊やだけではなく、あなたの鼻にも。

では、どういう順序で「とびひ」ができるのかといいますと、まずは正常な皮ふにキズがつくことが必要です。

キズのつき方はいろいろです。
1. ケガ、とくにすり傷
2. 汗疹(あせも)をかいて傷つける
3. 虫刺され、およびストロフルス(虫刺されの後に、刺されていない場所まではれること。)
4. 水ぼうそうの水疱をかき破って
5. アトピー性皮ふ炎など、皮ふのバリアー機能が弱い子 とにかく、キズがあればよろしい。
皮ふのキズ、という条件は畑仕事では、畝(うね)おこしに相当します。
次にいよいよ種や苗の植え付けです。

種や苗は鼻の穴の奥にいた菌です。それをハナクソほじった指でひっかけ、つぎに畝おこしの済んだ畑にすり込む。これが植え付け作業。肥やしに相当するのが汗と皮ふのヨゴレ。

で準備完了。夏に大粒のぶどうが育つようにブドウ球菌が増え始めます。

つまり、夏は、皮ふの温度も高く、キズがつきやすく、汗が多くて適度に湿り、ブドウ球菌が増えるには最高の条件が揃っているから「とびひ」ができ易いだけであって、これらの条件が揃えば、冬でもできるのです。

ただし、プールなど水に濡れた状態では、子ども同士がふれあうことによって、ヒトからヒトにうつる可能性がないとは言えません。

とくに水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)と呼ばれる、水の袋があちこちにできるタイプの「とびひ」は、他人にもうつりやすくなります。 このタイプの「とびひ」は、プールを遠慮しましょう。

治療は、こまめにシャワーをさせ、抗生物質の内服と、外用薬を使用。強酸性電解水(超酸化水)も効きます。 治りにくい方は試してみてください。

ふくろうブログTOPへ