冬にはやる呼吸器の病気の代表がインフルエンザで、その特徴は以下のように要約できます。
- ウイルスにはA、B、Cの3型があり、このうちAとBが毎年、世界的に流行を繰り返す。A型インフルエンザウイルスは変装の名人で、常にマイナーチェンジをくりかえしているため、一度かかってもその経験が役に立たないこともあり、生涯に何回でもかかることがある。
- インフルエンザウイルスは乾燥と低温に強く、屋内暖房で空気が乾燥すると、患者さんの唾液とともに吐き出されたウイルスは、乾燥してチリになり、空気中をただよいながら、次のターゲットに侵入する (ハシカ、水痘ウイルスも同じで、これを飛まつ核感染という)。つまり、今は居ないがさっきまでそこに居た患者さんの吐息でさえもうつることになる。
- 働き盛りの成人でもあっさり感染する。年齢にバリアーがない。また呼吸器以外にも筋肉痛、関節痛、胃腸炎など全身症状をともなうので、ふだん健康な人ほどダメージが大きい。
- 乳児や幼児にとっては、脳炎・脳症などを合併する危険性が普通かぜよりも高い。
- 高齢者では肺炎をおこしやすい。寝たきりの高齢者では死亡率が高い
- 受験時期の1月と2月に流行のピークがくるため、受験生がかかると被害が大きい。
一般のノドかぜ・ハナかぜ(普通感冒)を無印良品としますと、インフルエンザという病気は、スーパーブランド物に相当するでしょう(恐ろしく高くつくという意味で)。医学の進歩した今日でもなお、油断できない病気です。A型のみに有効な薬やA、B両方に有効な薬も登場していますが、やはりかからないに越したことはなく、ワクチンが一番有効な対策であると思います。