ふくろうブログ

発熱時の対応

夏カゼと思われる患者さんが増えつつあります。かなり高熱をだすこどもさんもいますので、毎日診療が終わる頃になると、解熱剤(げねつざい)を使ってよいかどうか、といった問い合わせが多くなります。

解熱剤の目的は、高熱を平らにすることではありません。食べる・飲むこと、眠ること、トイレに行ったり痛みを訴えるなど、喋って動く力、それら全身状態のバロメータをなるべく良い状態にキープすること、それこそが解熱剤の使用目的なのです。

だから39℃の発熱があっても、自分で台所にきて「あつい、お茶!」などと言えるうちは、使用せずに様子を見てもかまいません。必要ないでしょう。

「もう少しお茶飲んだら、きっとお熱も下がるよね。」とおでこに手をあてながら話しかけ、ゆったりした衣服に着替えさせて、そっと横たえ、そばにいて、優しくじっと見守るだけで、数時間で解熱することも少なくありません。注意すべきは、小さな声で。動作も静かに、ドタバタしない。

こどもにとっては親がそばにいてくれること、安心を与えてくれることが大切なので、「39℃!ンマー大変!」などと、怒髪天を抜く形相で電話をかけまくったとしても、それは何のプラスにもならないのです。

お茶が飲めて喋って、動き回れるのであれば、全身状態のバロメータは、良い状態にキープされている。その発熱は、「困った症状」ではありません。

しかし、高熱のためにぐったりして、水分もほとんど飲めない状態や、トイレにも行けない、あるいは排尿がない、赤ちゃんの場合ですと、笑わない、泣声が弱い、などというのは「困った症状」と考えます。 それは「食う・ねる・あそぶ」つまり全身状態のバロメータが悪いから。

そういう時に、手持ちの解熱剤を使うべきかどうか迷う必要はありません。恐る恐る使ってみたら、一晩ぐっすり眠れて良かったという体験も少なくないでしょう。解熱剤は、痛みを和らげる作用も合わせもっていますから、発熱の時だけでなく、中耳炎などで痛みを訴える場合にも使用できます。

少しでも下がったら、ぐずぐずせずに水分を与えます。吐き気がある場合には、おちょこの半分程度を30分おきに。待つ忍耐力も大事です。

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