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国民総医療費の削減を実現するには

現在、国民総医療費は27兆円にも達しています。その3分の1は高齢者の医療費です。国民の4人に1人は高齢者ですから、その医療費が総額として多くを占めているのは仕方のないことです。しかし次の世代に借金を残すまいとすれば、高齢者医療だけでなく、医療にある無駄を可能な限りカットしていくことが必要です。患者さんの側としてはなるべく医療機関を変えないことが求められていますし、重複受診も困りものです。医療側としてはなるべく検査を減らす、処方を減らすなどの努力が必要でしょう。それでもこのような努力には限界があります。

医療費の総額を削減する最も確実な方法は不必要な受診をなくすことです

私は開院した当初から、あなたのお子さんはこういう事情で大したことはないのだから今日無理に受診しなくても良いのですよ、数日待てば悪化することなく大体自然に治るでしょうよ、ということを指導しつづけてきました。その反対に、こういう時は受診しておいたほうが良いのですよ、という指導もしておりますが。

ご家庭で、受診するべきか否かの判断をある程度までできるようになれば、おそらく受診回数をずいぶん減らせる筈です。国民総医療費も24兆円(-12%)くらいには減らせるはずで、税金や保険料も安くなることは間違いありません。

さてその24兆円を三分割して、老人医療費8兆円(-1兆円)、乳幼児医療費(乳児健診・予防接種事業・母子保健事業など含む)8兆円、一般の医療費8兆円になるような配分の医療システムが合理的ではないかと考えております。

『大切なことは国民に対する健康教育、上手な受診の仕方の指導』

厚生省が進めている医療・保険改革は、患者の自己負担を増やすことで受診抑制をはかろうとしています。これは全くナンセンスです。自己負担をいくら高くしても、患者さんの側に不安があれば受診は減りません。一方、経済的に余裕のない高齢者の中には、窓口での支払いが重い負担となって必要な受診を控える傾向が見られています。マスメディアなどを有効に使った国民に対する健康教育、学校の保健授業における上手な受診の仕方の教育がもっとも大切なことなのです。

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